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森林療法でのととのい方
CONTENTS
●[知識] 森林療法とは
●[知識] 01.フィトンチッドでととのう
●[知識] 02.緑のカーテンでととのう
●[知識] 03.1/fゆらぎでととのう
●[知識] 04.マイナスイオンでととのう
●[知識] 05.森の運動でととのう
●[知識] 06.五感でととのう
●[知識] 07.森カウンセリングでととのう
●[知識] 08.深呼吸でととのう
●[知識] 09.森でととのう
森林療法とは
森林療法とは、健康のために森林を活用することです。
森に入って散歩したり、植物が放つ香りを嗅いだり、立ち止まって耳を澄ましたり、深呼吸をしたり、一人になって自然や自分と向き合ってみたり。
そんな森でのアクティビティと、森自身が持つ癒し効果との相乗効果によって、血圧が正常化したり、ガンやウィルスなどから身体を守るナチュラル・キラー(NK)細胞が増加したり、抗ガンタンパク質が増加したりなど、様々な効果が得られることが医学的に解明されてきました。
またそういった効果が、森林から都会の自宅に帰ったあとも、一定期間持続することも明らかになり、こういった健康を目的とした森林でのアクティビティを総称して「森林療法」として呼ばれています。
01.フィトンチッドでととのう
フィトンチッドとは、草木などの植物が放つ揮発成分のことで、消臭、除菌/殺菌/抗菌、抗酸化などの効果があることが分かっています。
フィトンチッドはまた、心をリラックスさせる効果を持っていて、心身両面から私たちをととのえてくれる「生命の成分」ということもできます。
木々が茂る公園や森を歩いたり、木に近づいて香りを嗅いでみたり、木々に囲まれて深呼吸することで、このフィトンチッドが心身をともにリセットし、ととのえてくれるのです。
02.緑のカーテンでととのう
森の中では、緑のフィルターが80%もの太陽光線を吸収して、有害な紫外線をカットしてくれます。
また、人の目に優しいとされる「緑」の光を浴びたり、感じたりすることで、心が深くやすらぎ、ととのってきます。
森の中を歩いて、何となく緑を感じるだけでも構いませんし、時おり立ち止まって会話をやめ、ゆったりと呼吸しながら、ぼんやりと木々を眺めたりするだけで、無意識のうちに緑のカーテンで癒されていきます。
03.1/f ゆらぎでととのう
自然のハーモニーである「せせらぎの音」や「木の葉を揺らす風」などは、1/f と呼ばれる「ゆらぎ」を持っていて、気分を和らげてくれることが分かっています。
1/f とは、自然界に多く存在するリズムのことで、雨の音、キャンドルの炎、蛍の光り方、打ち寄せる波など、「不規則性」と「規則性」の両方を兼ね備えているため、私たちの心にも、刺激と落ち着きの両方を与えてくれると考えられています。
また、人の身体の心拍やリンパの流れ、脳の電気信号もすべて1/f なので、森の中でのんびりと過ごしたり、五感を澄ましたりしているだけで、周囲の自然とリズムと同調/共鳴して、心と身体を自然な状態い引き戻し、心身のリズムをととえることができます。
04.マイナスイオンでととのう
マイナスイオンは、自律神経の副交感神経に作用して、身体をリラックスさせたり、疲れを取り除いたりして、私たちに「ととのい」を与えてくれる物質として、以前から注目されてきました。
森の中には、天然のマイナスイオンがたくさん存在していて、特に滝の近くなどには無数のマイナスイオンが漂っていることが分かっています。
マイナスイオンは、皮膚機能を活性化して、寒暑への適応力を向上させてくれる働きも持っているので、ぜひ森の中で滝や水の流れを見かけたら、ほんの少しそのあたりで立ち止まってみて、音を聞いたり深呼吸をしたりして、マイナスイオンのシャワーを浴び、ととのい効果を満喫してみましょう。
05.森の運動でととのう
森の中を歩いていると、それそのものがウォーキングエクササイズになりますが、手を木に押し付けながら脇を伸ばしたり、腰を伸ばしたり、身体を木から遠ざけるようにねじったりして、ストレッチにもチャレンジしてみましょう。
ウォーキングなどの運動は、一般的に生活習慣病の予防に抜群の効果を発揮することが分かっていますが、森の中で行うことで、より呼吸が深くなったり、その呼吸によってフィトンチッドやマイナスイオンを体内に取り込んだりすることで、森が持つととのい効果をプラスすることができます。
また、散策後にストレッチを行うことで、筋肉の炎症を緩和したり、次の日に疲れを持ち越さないケアとなったり、いいことづくめです。
ぜひ森に入ったら、プラスワンの運動を心がけてみてくださいね。
06.五感でととのう
五感をフルに使って森を感じることは、森の最大のととのい要素の一つです。
いつもよりもゆっくりとしたペースで歩いてみて、時おり立ち止まって豊かな五感の感覚を愉しんでみましょう。
●視覚:周囲を丁寧に感じながら、森の不思議を探してみる
●嗅覚:枝や葉の匂いを嗅いで、それぞれの個性を味わう
●触覚:樹木の肌に触れたり、木の実や落ち葉を触ってみる
●聴覚:鳥のさえずり、川のせせらぎ、風の音を感じてみる
※うるしには十分に注意しましょう
07.森カウンセリングでととのう
森を歩いていて、何となく気に入った場所、直感的にピンとくる場所が見つかったら、そこで30分ほどのんびりと過ごしてみましょう。
その場に溢れている五感を愉しんだり、寝ころんでのんびりしてみたり、これまでの人生を振り返ったり、自分や大切な人たちのことを考えてみたり。
特に決まりはなく、ただのんびり過ごしていると、森がカウンセラーになってくれて、自然に心が穏やかになったり、様々な気づきが生まれたりして、不思議なくらい素敵なととのいを経験することができることでしょう。
08.深呼吸でととのう
森の中はどこも空気が新鮮ですが、とりわけ空気が澄み切って清々しいと感じるところで立ち止まり、ゆったりと深呼吸を行いましょう。
特に腹式呼吸の効果は、医学的にも素晴らしい効果が認められているので、ぜひチャレンジしてみてください。
大地に根を張ったイメージで立ち、出来立ての酸素をお腹いっぱいに取り込むように、お腹を膨らませて息を吸い込み、汚れをお腹の底から吐き出していくように、お腹を凹ませながら吐いていきましょう。
血液が綺麗になり、身体中の細胞に酸素がたっぷりと送り込まれて、免疫力がぐんとアップします。
09.森でととのう
これまで見てきたように、森の中を歩き、森の中に留まり、森を感じたり、深呼吸したり、身体を動かしたりしていると、森ならではの素晴らしいととのい効果が得られることが分かっています。
私たち人類は、その歴史の99.99%を自然の中で暮らしてきました。
特に森で暮らしてきた歴史は長く、人のDNAに深く刻み込まれているので、森の中では「同調」や「快適さ」を感じ、自然に心が穏やかになります。
自律神経を整え、ストレスホルモンを減らし、血圧を鎮静させることが、科学的にも証明されてきた森での時間。
ぜひ身近な森を見つけて、ほんの少しでも森の恩恵を授かり、素晴らしいととのい効果を享受していきましょう。
文責/監修:高力一浩(こうりきかずひろ)
1958年生まれ。
日本における森林療法、森林セラピーの第一人者。
森林メディカルトレーナー。
長野県自然観察インストラクター
薬草指導員、全国体験活動指導者主任講師など多数の資格保持。
森林セラピー発祥の地である長野県信濃町の「癒しの森」の事業に大きく貢献し、森林セラピーの礎を築き、トレーナー業、インストラクター業、講演など日本全国や韓国でも広く活動。
C.W.ニコル氏のアファンの森でも、障害を持った子供たちや被災地の子供たちと15年にわたり「ファイブセンス」活動を行っている。
自身も癒しの森の宿「しらかば」のオーナーでもある。
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