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ととのいの哲学

ととのい時間

CONTENTS

ととのいとは
ととのいが不可欠な現代人
ととのいの極意
ととのいエッセンス①「覚醒」
ととのいエッセンス②「放棄」
ととのいエッセンス③「呼吸」
ととのいエッセンス④「愛情」
究極のととのいとは
ととのいメソッドを実践しよう!

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ととのいの医学

 

ととのいとは

サウナブームから生まれ、流行語大賞にノミネートされるまでに至ったバズワード「ととのう」。

究極にくつろいでいるんだけれど、眠っているわけじゃなく、心は空っぽなんだけれど、いろんな感覚は動いていて鮮明に感じることができている状態。

瞑想家から見ると、「ととのい」とは瞑想状態。
スポーツでいうゾーン、心理学でいうフロー状態だといえます。

マッサージを受けているときのようにリラックスしているんだけれど、単にリラックスして動きたくないダウン状態ではなく、脳が覚醒しながらもくつろいでいて、心身が冴え渡り、いきいきと物事に取り組めるような状態です。

子供の頃のように余計な先入観や抑制がなく、無垢な心で純粋に目にするもの、口にするものを味わったり、楽しんだりすることができる、生きていく上での幸せの総量を増やしてくれる澄み切った状態が「ととのい」の状態なのです。

 

ととのいが不可欠な現代人

そもそも「ととのい」がこれ程までに注目されるに至ったのは、サウナが持っている類まれなととのい力の賜物ですが、その背景を丁寧に紐解いていくと、現代人が抱える「構造的な問題」が潜んでいることに気づきます。

この10年、スマートフォンの進化に牽引されながら、暮らしや娯楽がどんどん手軽で充実したものとなり、必要な時に必要な情報や商品がすぐに手に入るようになってきました。そんな生活の中で私たちは、無意識に「自分の欲は満たされて当たり前」という感覚を底なしに増長してきました。

その一方で、コロナや世界的な不況も相まって無数の不満が募り、その多くをテクノロジーの力で解消してはきましたが、それでも自然の脅威には勝てなかったり、そんな中でエゴとエゴとが衝突し合う人間関係に悩み、膨大な不満を抱えながら生活しています。

こういった不満は、休んでも休んでも脳が休まってくれないDMNの過剰状態を作り出してしまい、現代人特有の脳疲労や、そこから生み出される身体症状にに苛まれる人が急増しているのです。

こういった、リラックスだけでは抜け出せない脳の慢性的なアイドリング状態をリセットして、深い深い思考停止状態へと自分の脳を導き、いきいきと物事に取り組めるような状態を取り戻してくれる「ととのい」が、不可欠だといえるような時代になったのです。

このページでは、そんな「ととのい」のメカニズムや、そこに至るための極意について、分かりやすく解説していきたいと思います。

[関連ページ] ととのいの脳科学①『DMN』

 

ととのいの極意

人はいつととのい、そしてなぜあの独特の状態に至るのでしょうか。

ととのいの状態には、「頭が冴え渡っている」と「無防備に手放せている」という、相反する2つの状態が共存しています。

『医者が教えるサウナの教科書』によると、ととのっている時には、興奮状態の際に出るアドレナリンの分泌と、リラックスしている時の副交感神経優位の状態とが同時に起きているそうなのです。

通常は「興奮」の際に出るアドレナリンも、副交感神経が優位のため「興奮」には結びつかず、ただ脳が冴え渡っている状態、つまり「高揚」している状態が起きているのです。

何かを追いかけたり、変化させようとする働きがゼロなのに眠いわけではなく、冴え渡った脳でリラックスした状態を経験することができている境地。

ここが「ととのい」の肝となる部分なのですが、このあたりのメカニズムを詳しく見ていくことにしましょう。

ととのいの極意

 

ととのいエッセンス①「覚醒」

ととのいに必要な一つ目のエッセンスは「覚醒」です。

普段、私たちの注意力の多くは「過去」や「未来」の様々な出来事に持っていかれていて、集中力が分散してモヤっとした脳の状態に陥りがちです。

●過去に注意力を持っていかれた結果
 後悔、怒り、悲しみ、悔しさ、困惑など
●未来に注意力を持っていかれた結果
 不安、恐れ、憂鬱、緊張、絶望、焦りなど

この結果、アクセル(本当はこうしたい)を踏みながら、ブレーキ(抑制しなければいけない)を踏むという、注意力/精神力の競合や浪費が起きて脳が疲労し、目の前の出来事に注意を向ける力(集中力)が低下して、靄がかかったような状態に陥ります。

ととのいの脳科学①『DMN』で詳しく紹介されている「脳のアイドリング」が過剰になっている状態です。

こういった状態は、超絶嬉しいこと驚くほど刺激的なこと、逆にとてつもない恐ろしいことに出会ったりすると、自動的に「過去」や「未来」への固執が断ち切られ、脳が一致団結して覚醒し、今この瞬間への全集中が起こります。

ただ、そういったチャンスは滅多に日常的に起きないので、半泣きになるくらい筋トレしたり、強烈な熱波と水風呂を反復したり、思い切り叫んだり笑ったりして、ある種の極限状態を作り出すことが必要になります。

このように、脳を刺激して「覚醒」状態へと導くことが「ととのい」に必要な第一の要素となります。

ととのいエッセンス

 

ととのいエッセンス②「放棄」

ととのいに必要な二つ目のエッセンスは「放棄」です。

瞑想、ゾーン、フローなどの至高状態では、快楽への貪りや結果に対する固執など、あらゆる執着から解放されて「無防備に手放せている」状態が共通して起こっています。

私たちの心は普段、常に快楽を求めて奮闘し、近づけば近づくほどに興奮したり、陶酔したりしながら、またそれ以上の快楽を得たいと執着を増大させます。

逆に求めているものから遠ざかれば苦痛が生じ、緊張や怒りを引き起こしながら、やはり手にすることへの執着が増大します。

こういったエンドレスな執着は、常に脳を緊張へと導いて過剰なアイドリング状態を作り出し、多くの場合はその結果疲れ無関心を引き起こし、ある程度健康であれば自然な眠気を誘い、眠ることでこの脳の持続的な緊張がリセットされることになります。

ところが、このアイドリング状態が過剰になってしまうと、リラックスや睡眠だけではリセットできなくなり、疲れの元凶となっている様々な執着を断ち切るというプロセスが必要になってくるのです。

ですから、断ち切りのエッセンスである「覚醒」と、くつろぎのエッセンスである「放棄」を同時に引き起こすことが必要となり、言い換えると「ととのい」が必要になってくるということになるのです。

ととのいエッセンス

 

ととのいエッセンス③「呼吸」

「ととのい」に必要な2つのエッセンスを、側面から助けてくれるのが「呼吸」です。

とりわけお腹と横隔膜を使った腹式呼吸は、身体の中心である丹田を刺激して腹圧を高め、また意識をそこに置くことによって集中と覚醒を大いに助けます。

さらに吐く息を長くしたり、呼吸の調子を柔らかくしたり、最終的には内側から湧き起こる自由な呼吸を見守ることで、心の深いくつろぎと放棄を優しくサポートしてくれます。

生きるとは、をすること。

呼吸の調子をととのいに向けてコントロールしたり、最終的には内側からの呼吸を尊重することで、私たちの生きる姿勢をもととのえてくれる呼吸の力。

どのととのいメソッドでも、最大のカギとして頭の片隅に留めておいていただければと思います。

ととのいの呼吸

 

ととのいエッセンス④「愛情」

上で紹介した「ととのい」に必要な3つのエッセンスを、テクニックだけで追及してしまうと、どうしても落ちてしまいがちな要素があります。

それが「愛情」です。

自分の内側のあらゆる営みや、自分を形作ってくれている様々なパーツ、自分の近くにいてくれている人たちの気持ちや想い、そしてあらゆる動植物や物質さえも、一つひとつ、そして一人ひとりをそのまんまを丁寧に感じ、最大限のやさしさでもって大切に受け取る心です。

サウナでととのうと、あらゆるものに対する感謝の気持ちが溢れ出してくるという体験談をよく耳にしますが、心のチューニング次第では抜け落ちてしまうこともあり、これが欠けてしまうと、いくら一時的にととのったとしても、またすぐに乱れた状態に逆戻りしてしまうので、隠れた最重要要素だということができます。

なかなか「ととのい」が訪れないと感じたり、ととのってもすぐに乱れてしまう場合には、優しい気持ちと最大限の敬意をもって、今この瞬間起きているものを丁寧に感じる心の必要性を、ぜひ思い出して頂ければと思います。

愛情

 

究極のととのいとは

様々なととのいメソッドを使って、何度も何度もととのい経験をしていると、やがてととのい という境地が、どこに向かっているのかを感じられるようになります。

冒頭にも触れたように、スポーツでいうゾーン、心理学でいうフロー、瞑想家から見た瞑想状態です。

敵が蹴ったボールに対して、身体が勝手に反応する様子を見守っている状態。

アイデアが泉のように湧き起こってキーボードを叩き、ディスプレイに綴られていく原稿を読んでいる状態。

周囲から聞こえてくる感覚や、内側から湧き起こってくる感覚を、冴え渡った意識でただ感じてる状態。

試合に勝ちたいとか、いい原稿を書きたいとか、心を空っぽにしたいなどの執着が一切なく、だからこそ究極にリラックスしていて、冴え渡った意識で様々な変化をただ見ている状態。

これが究極のととのい状態であり、その時私たちはエゴイスティックな執着から抜け出し、愛情深い心であらゆる営みを見守り、そして今できる最大限のアウトプットを出すことができているのです。

 

ととのいメソッドを実践しよう!

そんなととのいの状態に向けて、世には様々なメソッドが存在します。

サウナで熱風と水風呂を反復した後、マグロのように横たわって宇宙を感じたり、大自然の中で自分のちっぽけさを自覚し、だからこそ結果を気にせず、全力で今できることを為そうとする気力が漲ったり、あらゆる感情を爆発させながら、最後は笑い転げてそのまま放心状態を味わったり。

そういった「ととのい」体験を重ねることで、電車の座席に座って呼吸を感じたり、寝る前にちょっぴり手と手を合わせたりするだけで、すぐに「ととのい」の感覚を再現できるようになってきます。

とは言え、追えば去るのが「ととのい」の境地。

ぜひのんびりと、楽しめる範囲でととのいメソッドを実践し、気がつけばととのってるという状態を何度も何度も経験していきましょう。

 

文責/監修:綿本彰(わたもとあきら)

日本ヨーガ瞑想協会会長。一般社団法人ワークフルネス理事。
マインドフルネス瞑想指導者トレーナー、ヨガニドラ指導者トレーナー。
瞑想/睡眠系YouTuber。

世界各国でヨガ/瞑想/マインドフルネスを指導し、長きに渡り日本におけるヨガ/瞑想をリード。
様々な地域や施設に対応した瞑想プログラムの構築、瞑想的な観点からの施設コンサルティングなどを積極的に行っている。
50冊以上の著書は、累計100万部を超える。

綿本彰オフィシャルHP:https://watamoto.jp/

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